こんにちは。妄想で^^旅する照明デザイナー 小田です。
「季節を分ける」という意見の節分。春の入口ですね。
本日の旅先は水の教会です。
安藤忠雄氏の設計によるもので、北海道、中央山岳部の平原に位置します。1988年竣工。
二つの立方体をずらし重ねた教会本体とその前面に広がる人口湖。そしてその全域を囲むL字コンクリート壁。
「自然との関り」を建築に取り込んだ安藤氏最初のプロジェクト
このころ安藤氏の建築は、住宅や中小商業施設からスケールの大きさを感じさせる建物ができてきました。
水の教会はその最初と言えます。
新緑そして紅葉・銀世界へと季節と共に教会も姿を変える。
自然との境界には水がある。
水は建築を自然から独立させ、一方風景の一部として自然に連続させていく。
礼拝堂との一体感、微妙な水面の表情のために湖の水深設定には細心の注意が払われたようです。
私は冬の北海道に訪れたことはありますが、本当に寒さと雪は想像を超えていて
「こんな気候で人が住めるのだろうか?」と本気で思ったものです。
安藤氏は、自然の濃淡が強ければ強いほど「この建築は面白くなる」とほくそ笑んでいたのではと思えてなりません。

現代の建築に活かすには
水を取り込んだ光の設計。
2013年 夏のイルミネーションイベント。
府中市の「びんご国府祭り」で実施しました。国府を模した建物を周囲に置いた水盤に映しました。
暗くなった環境では、よりくっきりと映り込み、会場に賑わいが加わりました。


光を纏った建築 Vol.4 -House of Light-
妄想で旅する照明デザイナー です。odaです。
暦では雨水。降る雪が雨へと変わり春一番ももうすぐですね。
皆さま、如何お過ごしでしょうか。
本日の旅先は「光の館 House of Light」(新潟県十日市町)です。光の芸術家、ジェームス・タレル氏プロデュース。
1943年生まれのアメリカの芸術家。知覚心理学や数学、天文学などを学びアメリカ航空宇宙研究所にも勤務。
「光の館」は、第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(2000年)で生まれたアート作品です。
タレル氏はこの構想は、小説家谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』からインスピレーションを得て制作したと言われています。
美は陰影のあや、明暗にある
“House of Light”構想にあたってタレル氏が語った言葉。
これまで「光の知覚」を探求してきた私にとって、『光の館』とは、
昼と夜、東洋と西洋、伝統と近代を対比するとともに融合する試みであった
「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」
日本の文化への、西洋の文化を背景としてきた私なりのアプローチであった。….と
線光源を多用
暗闇に体が光る不思議なお風呂「Light Bath」
暗い浴室内に浮かび上がる湯船は、光ファイバーで縁取られます。
この不思議な湯船に身体をつけると、自ら発光しているように見えるんです。
暗闇での入浴と光る身体。光の存在を体感できるタレル氏ならではの作品です。
可動式の屋根から空を眺める一時を「Outside In」
空からの光を室内に取り入れるためのスライド式の屋根がついた部屋。
空の色の移り変わりもアートの一部になっています。
床の間に設えられた光の掛軸も印象的です。
光の館には1点で発光する点光源ではなく間接照明としての「面光源」そして連なる「線光源」が多用されています。
直線的な日本家屋で光の表現をするのには線光源が合っていたのかもしれません。
伝統的な家屋に最新の光の技術導入した建築アート。泊まれる光のアート。
現代の建築に活かすには
線光源を使用した光の設計。
企業様 会長室入口ホールに光で描いたマーク。
光を纏った建築 Vol.3 -水の教会-
こんにちは。妄想で^^旅する照明デザイナー 小田です。
「季節を分ける」という意見の節分。春の入口ですね。
本日の旅先は水の教会です。
安藤忠雄氏の設計によるもので、北海道、中央山岳部の平原に位置します。1988年竣工。
二つの立方体をずらし重ねた教会本体とその前面に広がる人口湖。そしてその全域を囲むL字コンクリート壁。
「自然との関り」を建築に取り込んだ安藤氏最初のプロジェクト
このころ安藤氏の建築は、住宅や中小商業施設からスケールの大きさを感じさせる建物ができてきました。
水の教会はその最初と言えます。
新緑そして紅葉・銀世界へと季節と共に教会も姿を変える。
自然との境界には水がある。
水は建築を自然から独立させ、一方風景の一部として自然に連続させていく。
礼拝堂との一体感、微妙な水面の表情のために湖の水深設定には細心の注意が払われたようです。
私は冬の北海道に訪れたことはありますが、本当に寒さと雪は想像を超えていて
「こんな気候で人が住めるのだろうか?」と本気で思ったものです。
安藤氏は、自然の濃淡が強ければ強いほど「この建築は面白くなる」とほくそ笑んでいたのではと思えてなりません。
現代の建築に活かすには
水を取り込んだ光の設計。
2013年 夏のイルミネーションイベント。
府中市の「びんご国府祭り」で実施しました。国府を模した建物を周囲に置いた水盤に映しました。
暗くなった環境では、よりくっきりと映り込み、会場に賑わいが加わりました。
岩国のコートハウスをUPいたしました。
コンクリート打ち放しの2階建て住宅。柱や壁が少なく開放的な空間です。
岩国のコートハウス
ここ見せたいな。という照明デザイナー目線のオフショットをご紹介します。
艶のある素材に映り込んだ照明美しい
ルイスポールセンのマットなグレージュが空間よく似合いました。
便座脇の壁に天井まで伸びる間接照明
湯船の上にはまぶしくない照明が向いています。
玄関ポーチの間接照明は駐車スペースから続いています。
見た目の明るさ(明るさ感)が快適な照度と高級感を醸し出しました。
明るさ感にて大事な役割を果たすのは輝度です。
次回は輝度のお話をしたいと思います。
光を纏った建築 Vol.2 -光の教会-
こんにちは。妄想で^^旅する照明デザイナー 小田です。
季節はクリスマス。如何お過ごしでしょうか?
本日の旅先は茨木春日丘教会、別名「光の教会」です。
安藤忠雄氏の設計によるもので、旧万博会場近くの大阪府茨木市北春日丘に立っています。(2000年~)
テーマは言うまでもなく「光」
光に人間の気持ちが全部集まるような建築が出来ないものかと、
建物の開口部を十字架の部分だけにするという大胆な構想です。
十数年前にリアル旅で訪れたとき薄暗い内部で十字架から入る光が印象的で
床に落ちる影とともにその神聖な空気感が鮮明に記憶に残っています。
十字架にはガラスが入っていますが、安藤氏はなくしてしまいたかったそうです。
光というテーマは安藤氏が自分の作品のなかで長く探求し続けてきたテーマ。
光そのものを感じ取れる空間のためには透明なガラスも邪魔なフィルターになってしまったのです。
彼が十字架からガラスをなくすことを諦めたかというとそんなことはなく、
その後も牧師さんをつかまえてガラスがない場合に雨や雪の振り込んでくるであろう範囲を示して、
その部分を木ではなく石の板に変えれば濡れても大丈夫!と説得をして困らせていたそうです。
安藤氏の建築はまだ終わっていないのです。
もしガラス1枚なかったら…命ある光・力強い風を感じるもう1つの光の教会ができていたかもしれません。
願い叶う
竣工から17年。2017年 東京・六本木の国立新美術館で開催した「安藤忠雄展-挑戦-」にて
コンクリートで原寸大の「光の教会」が再現されました。
十字の開口部にガラスは入っていません。
安藤氏の理想とした光と風を感じる厳しくも美しい、人間の精神に訴える建築でした。
安藤氏も万感の思いだったことでしょう。
oda スマホにて撮影
現代の建築に活かすには
アクリルを介さない光源そのままで作る間接照明。
エッジの効いたスリット感のある光が壁をつたいます。
冬の休日のお知らせ
2021年12月24日~2022年1月4日
*ご連絡の際はお問い合わせフォームからお願いいたします。
光を纏った建築 Vol.1 -ロンシャンの礼拝堂-
妄想で旅する照明デザイナー 小田です。
季節は冬の入口。如何お過ごしでしょうか?
本日の旅先は私憧れのロンシャンの礼拝堂です。
この建築は、ル・コルビュジェの設計によるものでスイスとの国境に近いロンシャン地方の丘の上に立っています。
ロンシャンへ行け
建築界隈の人々は「サグラダ・ファミリアよりロンシャンに行け。」というほど。
その魅力は縦横無尽に配されたようで計算されつくした窓。もしくは穴。もしくは気道。
そして液体のように建物をつたう光。
日本を代表する建築家の安藤忠雄も最も影響を受けたのがロンシャン礼拝堂。
「建築とは建築家その人の生き方が表現されること、そして建築とは光から生まれることを学んだ」と言っています。
現代の建築に活かすには
天窓やハイサイドライト付近の入口から見えない位置に照明器具を仕込むこと。
そうすることで昼は自然光 夜は人工光がたおやかな光を室内にもたらしてくれることでしょう。
照明を味わうとき
2年前に照明プランをさせていただいたお店でワークショップを体験しました。
そう、自分で調理した料理を味わう瞬間と似ています。
照度はチェックしていたものの、実際の作業で不便はないか?
確認出来る良い機会です。
結果は…夢中で作業に没頭してあっという間に時間が過ぎていました。
照明が空気のような存在でした。
明るさのストレスなく作業できたということで合格点があげられました。
ワークショップではビカクシダを古材に止付けて壁掛けグリーン仕上げました。
おしゃべりしながらとっても楽しく作業できました。
オーナーの指導も的確なので安心して大胆に手を動かすことが出来ました。
「このシャンデリアとて評判がいいんですよ。」とオーナー。
照明がきっかけでお客様との会話がはずむそうで、
デザイナーとしてはこんなに嬉しいことはありません。
元気に育っています。
今回のワークショップで感じたことは、
照明は料理でいうと隠し味。前に出すぎても引っ込みすぎてもダメ。
味わうという感覚で照明を捉えてみるとまた一味違う照明との関係が築けるのでは?と。
そしてお部屋にグリーンと照明を!
夏季休暇のお知らせ
【夏季休業期間】
2021年8月6日(金)~8月16日(月)
8月17日(火)より、業務を開始いたします。
ご連絡の際は、お問い合わせはフォームよりお願いいたします。
阿賀北の家 -古民家リフォーム- をUPいたしました。
住んでいました。
当時のインテリアです。長らく賃貸住宅だった古民家。数年間借りて住んでいました。
ご縁あってそこを譲り受けて住まわれる方から照明デザインの依頼を受けました。
完成はこちらで!
阿賀北の家 -古民家リフォーム- – 広島県 照明デザインアトリエ Tica.Tica inc. / 株式会社 ティカ. ティカ (tica-tica.com)
ゴールデンウイーク休暇のお知らせ
29日から6日まで、ゴールデンウィークの休暇とさせていただきます。
ご連絡の際は、お問い合わせはフォームよりお願いいたします。
年末年始のお知らせ
適光適所で素敵な年末年始を。
2020/12/29~2021/1/7 休業と致します。
お問い合わせはフォームよりお願い致します。
Tica.Tica INC.
包んで作る照明「Wrap」
使う場所から導かれたデザイン
階段照明としてデザインした「Wrap」を紹介します。 ↓
階段という場所は人の動きと共に目線が移動する場所でもあります。高低・左右・斜め上・斜め下など当然そこへ付く照明器具もいろいろな角度から見ることになります。それによって電球の眩しさが見え隠れすることは避けたいと思い、現場である程度かたちを決められる器具とは?を考えました。
ふんわりと中身の電球を包みこむもの。いろいろイメージしてみました↓
マグネットで簡単取付
現場で自在に形をカスタムできるにはフレキシブルな取付方法であることも必要。素材は軽量スチールで強力マグネット取付というシナリオは初めから決めていました。
簡単スケッチともに製作工房に相談。初めは一斗缶素材で試作してみました。つづいてブリキを叩いて成型。打ち合わせ時に試作が出てくる、なんなら見ているところで作ってくれる。この環境はすごいことといつもながらに思います!だんだんイメージに近づいてきました。↓
完成!
手仕事による1点ものが数点出来ました!
ソケッともマグネットで取付いています。配線は包みの合わせ部分から後ろへ通して直付け。器具に穴は無くマグネットで壁に留まっているだけなので好きな角度でホールド出来ます。上下を変えたり横向きにしたり90度立ててみたり。
動線と目線を検証してベストな向きで収められる。まさに変幻自在。
カラーはブリキの亜鉛メッキ素地のままでも良し。塗っても良し。
今回は階段に使いましたが。室内の壁であればどこでもOK。コンセント仕様にも対応します。