グッゲンハイム美術館の建築を手がけたのは著名建築家のフランク・ロイド・ライド。
「近代建築の三大巨匠の一人」として建築業界では知らない者は居ない。日本の近代建築の発展や西洋建築の普及に貢献し、
無機質な建築が多い現代に「より人間的な豊かさ=有機的建築の理想」について生涯を賭けて問いかけ続けたことでも知られている。


フランク・ロイド・ライドが考える自然光の入り方

模様も印象的な中央の吹き抜けからは、館内全体を明るく照らす自然光が気持ち良い。
この天井からの採光は、流れるような螺旋階段に合わせて様々な仕組みが作られている。
旋状空間の上部では柔らかく、モダンな雰囲気に差す自然光の入り方が美しい。
流れるような光に沿って人々が緩やかに進んでいく導線は、まさに天才フランク・ロイド・ライドのセンスと偉大さを痛感する。

この建物の主題はスパイラルである。 コイルを巻いたような外観は非常にユニークである。
1Fレベルを取り巻く帯のような低い庇に吸い込まれて中に入ると、
薄暗いエントランスから一気に開放されたように光のシャワー(トップライト)のある大吹抜けに出る。 その周りを階段がぐるぐる巻きに取り囲む。
ここからエレベーターで上に上がって、螺旋を下りながら絵を観賞するのだ。

彼が唯一ニューヨークに作った作品で、竣工までに17年の歳月がかかり、
その完成を見ることの出来なかった生涯最後の作品となっています。
クリーム色のコンクリート壁面が螺旋状に立ち上がった展示空間は、一般的なキューブ型と違い、
まるで回廊を散歩しているような気分にさせてくれます。


2層のガラスで構成された中央のスカイライトは、外側のガラスにフィルムが貼られているため、
異なる角度から入射した直射日光を拡散させ、ホールに安定した光をもたらしています。
ホール全体に満ちた光は、人やモノにはっきりとした影を落とさせず、ぼんやりとした雰囲気に包まれます。
また、ホールは上に向かって先つぼまりな形態をしているため、下から見上げるとスカイライトはより強調されて見えるようになっています。
一方で、作品の展示されている外周部には自然光と人工照明を併用することで光を集中させ、
作品以外の鑑賞者や回廊内側の壁はシルエットとなります。
こうすることで、対照的により一層特徴的な螺旋の構造を際立たせています。
回廊は光沢感のある仕上げになっていて、鑑賞者の影や作品の色をよく反射することで回廊の空間に彩りを演出しています。
このようにグッゲンハイム美術館は、建物の形態と展示方法、空間演出が見事に調整された美術館と言えます。


現代の建築に活かすには

時間と光を同期させる。という考えのもと時間帯ごとの照度・色温度を設定。

自然光の少ない住宅において内に開かれた光を実現した。

妄想で旅する照明デザイナー です。odaです。

暦では雨水。降る雪が雨へと変わり春一番ももうすぐですね。
皆さま、如何お過ごしでしょうか。

本日の旅先は「光の館 House of Light」(新潟県十日市町)です。光の芸術家、ジェームス・タレル氏プロデュース。 

1943年生まれのアメリカの芸術家。知覚心理学や数学、天文学などを学びアメリカ航空宇宙研究所にも勤務。

「光の館」は、第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(2000年)で生まれたアート作品です。
タレル氏はこの構想は、小説家谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』からインスピレーションを得て制作したと言われています。


美は陰影のあや、明暗にある

“House of Light”構想にあたってタレル氏が語った言葉。

これまで「光の知覚」を探求してきた私にとって、『光の館』とは、
昼と夜、東洋と西洋、伝統と近代を対比するとともに融合する試みであった
「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」
日本の文化への、西洋の文化を背景としてきた私なりのアプローチであった。….と


線光源を多用

暗闇に体が光る不思議なお風呂「Light Bath」
暗い浴室内に浮かび上がる湯船は、光ファイバーで縁取られます。
この不思議な湯船に身体をつけると、自ら発光しているように見えるんです。
暗闇での入浴と光る身体。光の存在を体感できるタレル氏ならではの作品です。

可動式の屋根から空を眺める一時を「Outside In」
空からの光を室内に取り入れるためのスライド式の屋根がついた部屋。
空の色の移り変わりもアートの一部になっています。

床の間に設えられた光の掛軸も印象的です。

光の館には1点で発光する点光源ではなく間接照明としての「面光源」そして連なる「線光源」が多用されています。

直線的な日本家屋で光の表現をするのには線光源が合っていたのかもしれません。
伝統的な家屋に最新の光の技術導入した建築アート。泊まれる光のアート。


現代の建築に活かすには

線光源を使用した光の設計。

企業様 会長室入口ホールに光で描いたマーク。

こんにちは。妄想で^^旅する照明デザイナー 小田です。

「季節を分ける」という意見の節分。春の入口ですね。

本日の旅先は水の教会です。
安藤忠雄氏の設計によるもので、北海道、中央山岳部の平原に位置します。1988年竣工。
二つの立方体をずらし重ねた教会本体とその前面に広がる人口湖。そしてその全域を囲むL字コンクリート壁。


「自然との関り」を建築に取り込んだ安藤氏最初のプロジェクト

このころ安藤氏の建築は、住宅や中小商業施設からスケールの大きさを感じさせる建物ができてきました。
水の教会はその最初と言えます。

新緑そして紅葉・銀世界へと季節と共に教会も姿を変える。
自然との境界には水がある。

水は建築を自然から独立させ、一方風景の一部として自然に連続させていく。

礼拝堂との一体感、微妙な水面の表情のために湖の水深設定には細心の注意が払われたようです。

私は冬の北海道に訪れたことはありますが、本当に寒さと雪は想像を超えていて
「こんな気候で人が住めるのだろうか?」と本気で思ったものです。

安藤氏は、自然の濃淡が強ければ強いほど「この建築は面白くなる」とほくそ笑んでいたのではと思えてなりません。


現代の建築に活かすには

水を取り込んだ光の設計。
2013年 夏のイルミネーションイベント。

府中市の「びんご国府祭り」で実施しました。国府を模した建物を周囲に置いた水盤に映しました。

暗くなった環境では、よりくっきりと映り込み、会場に賑わいが加わりました。

こんにちは。妄想で^^旅する照明デザイナー 小田です。

季節はクリスマス。如何お過ごしでしょうか?

本日の旅先は茨木春日丘教会、別名「光の教会」です。
安藤忠雄氏の設計によるもので、旧万博会場近くの大阪府茨木市北春日丘に立っています。(2000年~)


テーマは言うまでもなく「光」

光に人間の気持ちが全部集まるような建築が出来ないものかと、
建物の開口部を十字架の部分だけにするという大胆な構想です。

十数年前にリアル旅で訪れたとき薄暗い内部で十字架から入る光が印象的で
床に落ちる影とともにその神聖な空気感が鮮明に記憶に残っています。

十字架にはガラスが入っていますが、安藤氏はなくしてしまいたかったそうです。
光というテーマは安藤氏が自分の作品のなかで長く探求し続けてきたテーマ。
光そのものを感じ取れる空間のためには透明なガラスも邪魔なフィルターになってしまったのです。

彼が十字架からガラスをなくすことを諦めたかというとそんなことはなく、
その後も牧師さんをつかまえてガラスがない場合に雨や雪の振り込んでくるであろう範囲を示して、
その部分を木ではなく石の板に変えれば濡れても大丈夫!と説得をして困らせていたそうです。

安藤氏の建築はまだ終わっていないのです。

もしガラス1枚なかったら…命ある光・力強い風を感じるもう1つの光の教会ができていたかもしれません。


願い叶う

竣工から17年。2017年 東京・六本木の国立新美術館で開催した「安藤忠雄展-挑戦-」にて
コンクリートで原寸大の「光の教会」が再現されました。
十字の開口部にガラスは入っていません。
安藤氏の理想とした光と風を感じる厳しくも美しい、人間の精神に訴える建築でした。

安藤氏も万感の思いだったことでしょう。

oda スマホにて撮影


現代の建築に活かすには

アクリルを介さない光源そのままで作る間接照明。
エッジの効いたスリット感のある光が壁をつたいます。

妄想で旅する照明デザイナー 小田です。

季節は冬の入口。如何お過ごしでしょうか?
本日の旅先は私憧れのロンシャンの礼拝堂です。


この建築は、ル・コルビュジェの設計によるものでスイスとの国境に近いロンシャン地方の丘の上に立っています。


ロンシャンへ行け

建築界隈の人々は「サグラダ・ファミリアよりロンシャンに行け。」というほど。

その魅力は縦横無尽に配されたようで計算されつくした窓。もしくは穴。もしくは気道。
そして液体のように建物をつたう光。

日本を代表する建築家の安藤忠雄も最も影響を受けたのがロンシャン礼拝堂。
「建築とは建築家その人の生き方が表現されること、そして建築とは光から生まれることを学んだ」と言っています。


現代の建築に活かすには

天窓やハイサイドライト付近の入口から見えない位置に照明器具を仕込むこと。
そうすることで昼は自然光 夜は人工光がたおやかな光を室内にもたらしてくれることでしょう。