“ものづくり”への気持ちまで導くことができるか?
その工場は、1階の玄関ホールに大きなガラス窓。そこから階段を上がると、2階の廊下に面したガラス越しに製作現場を眺めることができ設計となっている。
階段ホールは単なる移動空間ではなく“ものづくり”へと気持ちを導く場所へできないか?という問いを掲げてスタートした。
天井には仕上げ材同士がつながるスリットがあり、そこに光のラインを連続的に埋め込んだ。長い通路に一定のリズムを与えるためだ。均一な明るさではなく、反復する光のテンポが奥行きをつくる。人は無意識に、光の連なりに導かれる。視線は自然と先へ、そして上へと伸びていく。
階段の蹴込にはブルーのライン照明を仕込んだ。踏面を強く照らすのではなく、立ち上がりを淡く光らせることで、階段そのものを軽やかに浮かび上がらせる。ここで選んだブルーは、単なるアクセントではない。精度や冷静さを象徴する色。ものづくりに求められる緻密さ、静かな集中、ブレない姿勢。その空気を、光の色でさりげなく語る。
壁面は鏡面仕上げだった。通常なら映り込みを避けたくなる素材だが、今回はあえてその反射を活かした。天井のライン光が壁面にリズムよく映り込み、実際以上の奥行きと連続性を生む。光は増幅し、空間はよりダイナミックに感じられる。
見学コーナーの照明で大切にしたのは、主役を邪魔しないこと。手前を強く照らすのではなく、周囲を適度な照度で整えることで、ガラスの向こう側のとの照度差で製作風景が自然と浮かび上がる仕上げとした。
概要
竣工 2024
場所 広島県福山市
内容 照明計画